2018-0214 いぶき公開セミナー「いま、いのちと生きるを考える」

2018年3月3日(土)にいぶき福祉会公開セミナーを開きます。
いぶきの職員向けに綴った文章を、いくつか残しておきたいと思います。

◆10月24日(火)

セミナーFBバナー写真
テーマ 「産まれること」と「目いっぱい生ききること」からいのちのことを考える
日 時 2018年3月3日(土)10時~16時
会 場 岐阜県図書館多目的ホール
講 師 寺澤大祐さん(岐阜・長良医療センター)
萬田緑平さん(群馬・萬田診療所)http://www.kanwamanda.com/
参加者 いぶき福祉会・いぶき福祉会後援会関係者
一般の方にも公開します
主 催 いぶき福祉会
仲間のいのちのことを振り返り、考え続けていく機会をなかなかとり切れなかったことがずっと気がかりでした。
寺澤さんは、第二いぶきの利用者さんのお兄さんです。
周産期医療の現場からいのちの大切さを訴える講演「いのちの理由」は全国から絶え間なく声がかかるほどの反響を呼んでいます。
いぶきでも2年前に職員向けに講演をしてもらいましたので知っている人もいると思います。
今回も隙間を縫ってお越しいただけることになりました。
萬田さんとは、北川が2017年1月に寺澤先生と一緒に、宮崎大学の柴田紘一郎先生(映画「風に立つライオン」のモデルとなった海外医療活動の先駆者です)を訪ねたときに知りあいました。
群馬県で、型破りなターミナルケアに取り組んでおられ、患者本人の意思をとことん尊重する熱くて少しやんちゃなドクターです。

今回はお二人の対談も含め、じっくりと時間をとれることになりました。
長時間で大変に思われるかもしれませんが、聴いて絶対に損はない、いぶきの仕事の根幹につながる話です。
若い世代の職員、暮らしの支援に関わる職員は特に参加していただきたいと強く思います。
公開セミナーにしますので、職員の家族友人もお誘いいただいて構いません。

◆1月23日(火)

実は、このセミナーにむけて思うところがいろいろあります。
深くてせつなかったりします。
でも、綴っておかなければと思います。

昨日は、ある仲間の命日でした。

第二いぶき開設の少し前にいぶきの一員となり、その後12年間、第二いぶきに籍をおいたり抜けたりを繰り返していた北川より2つ下の男性。
籍がない間もずっと連絡は取っていて、顔を見るたびに「北川さんずっと友達でいてくれますか?」といい続けてくれていました。
二人で暮らしていたお母さんが亡くなってちょうど2週間。
後を追うように帰らぬ人となって7年がたちました。
今でもよく似た自転車の後姿をみかけると彼の顔が浮かんできて胸が苦しくなったりします。
去年5月に栃下さん、8月に織部さん。その前年の10月に川島さんが亡くなりました。
その前にさかのぼると、2012年3月の松本さん、2008年12月の森さん、2005年1月の前田さん、5月の塚原さん、11月の堀部さん、2004年は1月に鷲見さん、2003年12月は佐藤さん、2002年12月に渡辺さん。
いぶき福祉会の仲間で初めて亡くなったのが2001年の大森さんでした。
筋ジストロフィーの女性で、彼女のシゴトとして始まったウッドビーズ人形のキーホルダー作りがいぶきのクラフト系のシゴトの始まりです。
亡くなったのは23歳になる直前でした。

仲間が亡くなることは、利用しなくなることとはまったく次元が違う話。
でも、「いぶきの風景の中に姿が見えなくなる」ということでは違いがなくて、そんな錯覚に陥ってしまいかねません。
まさかと思われるかもしれませんが、まじめな話です。
病院や高齢者の施設の経験がある方はきっとよくわかると思います。
昨日いた人が今日はいないことは別に不思議ではないこと。しかも理由に関係なく。
でも、いぶきはそうではありません。
おそらくこれからも。
だからいなくなることは、職員にとっても大きなストレスにつながります。
その理由が亡くなることであればなおさらです。(病院や高齢者施設の人が何も感じないという意味ではありません)
そんな中で心配していることがあります。
それが3月3日にセミナーをする理由です。

その仲間とともにする時間も職員ひとりひとりでは当然違います。
でもそれ以外に、職員集団が大きくなったり、共有する場面が少なくなったり、日常が忙しかったり、どう話していいか話題にしていいかどうかもわからなかったりして、「仲間の死を受け止め心の中で落ち着けていくこと」に職員集団で向き合うことがしづらくなっていないだろうか。
職員の「個人作業」にゆだねられてしまっていないだろうか。
それによって、「落ち込んでいると他の仲間に影響するから」とか、「引きずっていては申し訳ないから」と、無理やりその言いようのない気持ちの塊を抑え込もうとしたり、次に向かおうと頑張ってしまったりしているのではないだろうか。
そしてそのまま月日が過ぎてしまうようなことをさせてしまっていることはだろうか…。
実はそんなことを強く心配しています。もしそうならとても申し訳なく思います。
多くの場合、それは後悔ばかりで自分を責めるしかなくって、その無力感は後々まで無意識に残ってしまいます。
僕が彼に似た自転車の後姿にまだ苦しくなるのもそのひとつなのかもしれません。
そういう意味でも、川島さんが亡くなったあと、紀要を綴りなおす作業はいぶきにとってとても大切な作業でした。
そして、もう少し広い意味でいのちのことをみんなで考える時間を持ちたいと思いました。
いぶきにとって仲間を見送ることが久しくなかったのは幸いなことでした。
でも、これからも受け止めなければならないことが、突然に、何回もあることは間違いありません。

みんなで考える最初の場を作るのに1年近くかかってしまいました。遅くなってしまってごめんなさい。
これがすべてではありませんが、何かのきっかけになると思っています。
長い文章になってしまいましたが、今回はそんな思いをこめて準備した「いぶき福祉会の職員のための研修」です。
職員以外の方のために用意したわけではありません。
講師の方との相談で、ほかの方にも公開することにしましたが、内容はいぶきの職員向けです。
講師の寺澤先生、萬田先生は日程を抑えるのが大変で、ひな祭りの日になってしまいました。
ですが、ぜひともみんなにご紹介したいと思っています。
休日まるまる一日ですが、ぜひとも参加してください。
先輩が後輩に声をかけてやってくれるととても嬉しく思います。

以上です。
いいセミナーになりますように…。