39≫ ハートをもてているか

先日、FC岐阜の広報の方と食事をする機会がありました。林さんという旧巣南町出身の31歳の男性ですが、去年までは名古屋グランパスのマスコミ対応を一手に担っていたそうです。今年になって、地元のチームの力になるべくFC岐阜に加わったとのこと。グランパスはトヨタ資本のいわば一流企業、FC岐阜は、前期Jリーグ入りを逃していたら、資金切れで解散せざるをえなかったぐらいの、今なお必死に経営を維持しているチームです。そんな「転職」をした林さんいわく、FC岐阜の選手は給料も低く(驚くほどです)専用の練習場もなく(J1、J2で2チームだけ)、車で着替えてシャワーもなく、転々として河川敷で練習することもあるぐらいだけれども、やる気にあふれて、生き生きと、伸び伸びとしているとのこと。そんな選手のことを、わが子のように想い、駆け回っているのがひしひしと伝わってきました。それに加えて、地域に根ざしたチームであろうとする思いも本当に強くもっている方で、その熱心さと誠実さに心を動かされました。そんな林さんを見て、以前を知る周囲の人は皆、FC岐阜にいってよかったねといってくれるそうです。あまり多くは語りませんでしたが、察するに、縛られながらもどこか大船にのった安心感が満ちている組織で(会社も選手も)、林さんは想いをもてば持つほど苦しかったのかもしれません。
 ところで、先日、蔵開放でいった常滑で、一人の青年を紹介されました。彼は小さな作業所の職員で、熱心でなかなか頭も切れるのですが、職場では、頑張ろうとすればするほど浮いていくとのこと。唯一頼りにしていた所長は、今年で中途退職。はしごを外された彼は、退職をしようかと悩んでいました。北川が岐阜に戻ったその夜、常滑では彼を囲んで、いぶきで働かせてもらえという説得が行われていたそうです。翌日、その話を聞いた北川は、8日の採用試験を受けることを勧めました。彼はいぶきの話をきいて、今までの自分の考え方でいいんだと思ったそうです。相当悩んだ結果(ホントに悩んだみたいです)、彼が出した結論は、地元のこの作業所で、他の職員とも力を合わせて、自分を磨きたいということでした。
 グランパスとFC岐阜のことを思いながら、第二いぶきは、いったいどちらにむかっているのだろうかと考えていました。
決して、大企業なんかではないけれども、ぼくたちは林さんやFC岐阜の選手たちのようはハートをもちつづけているだろうかと。 地元で頑張ることにした彼の環境と決意を思った時、僕たちは、この環境を最大限活かして、仲間たちに向かっているだろうかと。しっかりできていると答えられるチームで居続けたいと思っています。
【Collaboration2007 vol.39より】~